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【esports考察】日本でプロのeスポーツ選手を目指すのは難しい?危ない?


将来の職業としてプロのeスポーツ選手を目指す10代や20代の人が増えていますが、日本国内のeスポーツに対する認知度は未だ高いとは言えず、eスポーツ選手に対する評価も賛否両論です。身近なところでは、親や教師から「eスポーツは収入が不安定で将来性も怪しいからeスポーツ選手になるのは止めておいた方が良い」と批判されてしまうことも多いと思います。

この記事では、将来の職業として日本のプロeスポーツ選手を目指すことの難しさや危険性について、またそれらのリスクを乗り越えてプロeスポーツ選手になるための提案をまとめています。

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結論:日本で専業のプロeスポーツ選手になるのは難しい

結論として、日本で専業のプロeスポーツ選手になるのは難しいです。専業とは1つの職業だけで生計を立てることができること、プロとはeスポーツ選手としての賞金やスポンサー料を得ている人のことを指します。具体的には以下3つの難しさ(壁)があります。

  1. プロのeスポーツ選手になることが難しい
  2. プロのeスポーツ選手でも生計を立てることが難しい
  3. プロのeスポーツ選手として第一線で活躍し続けることが難しい

 

日本で専業のプロeスポーツ選手になることが難しい5つの理由

なぜ日本で専業のプロeスポーツ選手になることが難しいのか、生計を立てることが難しいのか、第一線で活躍し続けることが難しいのか、5つの理由を紹介します。eスポーツは発展途上の産業でありチャンスと共にリスクも大きいことを十分理解しておきましょう。

 

理由1:ゲームの実力だけではプロのeスポーツ選手になれない

プロのeスポーツ選手になるためには、各ゲームタイトルのランクを上げて大会で入賞するなどゲームの実力を高めることは前提条件であり、この点においては他のスポーツと同様に誰にでもチャンスがあります。

しかし、日本のプロeスポーツ選手は大会の賞金だけで生計を立てられている訳ではなく、YoutubeやTwitchなどの動画配信サイトでストリーマーとして収入(広告収入)を得て生計を立てています。このストリーマーとしての収入は選手の実力だけではなく人気や動画の面白さによって支えられています。

つまり、日本のプロのeスポーツ選手として生計を立てるためには実力と人気を兼ね備えることが前提条件であり、サッカーや野球などのスポーツよりもプロ選手になるためのハードルが高いと言えます。

 

理由2:日本では10万円を超える賞金を受け取れない

プロのeスポーツ選手の大切な収入源である大会賞金も、ゲームのタイトルによっては最大10万円まで(たった10万円)しか受け取れないことがあります。これは日本の法律の景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)によって制限されている明確なルールであり、法改正や裁判所の判例によって新しい法解釈なされなければ変更されることはありません。

なお、JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)が認定するプロライセンス(ジャパン・eスポーツ・ライセンス)を取得する選手およびチームは景品表示法に制限されることなく高額の大会賞金を受け取ることができます。しかし、ライセンスを取得するためにはまず実績を出す必要があり、更に指定のゲームタイトル(2020年4月現在で13タイトル)でのみライセンスが発行されるという制限付きです。

ちなみに、JeSUのプロライセンスを持っていないeスポーツ選手が高額賞金を受け取ったり、上記のゲームタイトル以外の大会で規定の賞金上限額を超える大会が開催されたりしていますが、法律のグレーゾーンを利用しているだけであるため、裁判所がNGを出せばそこで終わりという危ない橋を渡っていることを覚えておきましょう。

 

理由3:日本のeスポーツ市場の成長性は不明瞭

eスポーツの市場規模は2021年に世界で約1,600億円・日本で85億円になると予測されていますが、今後市場が成長を続けるかどうかの保証は無く、特に日本のeスポーツ市場の成長性は不明瞭です。

日本のeスポーツ市場の成長性が不明瞭である理由は様々ですが、特に大きな課題はスポンサー企業が少ないこと・eスポーツに対して積極投資する価値を感じづらいことにあります。プロのeスポーツ選手の収入はこれらのスポンサー企業からのスポンサー料によって支えられているため、スポンサー企業が増えない・積極投資しないことには市場も成長しづらい構造になっています。

ちなみに、「日本のeスポーツ市場だけでも85億円あるからすごいじゃん!」と思う方も居ると思いますが、他のスポーツの市場規模と比較するとまだまだ小さな市場であることが分かります。引いてはプロ選手に分配される報酬の少なさもイメージできると思います。

  • 野球(NPB):1,800億円(2017ー18シーズン)
  • サッカー(Jリーグ):1,105億円(2017ー18シーズン)
  • バスケットボール(Bリーグ):195億円(2017-2018シーズン)

 

理由4:プロeスポーツ選手の選手生命は短い

プロのeスポーツ選手として生計を立て続けることは以下の2つの理由で難しく、選手生命は短いと言えます。

  1. 身体能力の衰え
  2. ゲームタイトルの人気の衰え

特にプロのeスポーツ選手の生計を不安定にするのは、ゲームタイトルの人気の衰えやサービスの提供終了といった外的要因です。ゲームである以上、新しいソフトやハードが発売されれば人気やユーザーはそちらに移動します。また、ハッカーやバグなど技術的な問題でサービスが提供できなくなったりユーザーが離れてしまったりする可能性もあります。

この問題はプロeスポーツ選手にはどうすることもできない問題でありパブリッシャー(ゲーム開発元)頼みになってしまうため、プロのeスポーツ選手の大きな精神的負担になります。

 

理由5:プロリタイア後の職業の選択肢が少ない

プロのeスポーツ選手として現役生活を終えた後の選択肢は非常に限定的です。ストリーマーとして活動する・監督やコーチに就任する・eスポーツ専門学校で働くといった選択肢がありますが、実績と人気が無ければ難しい職業であり必要な人員も非常に限られています。さらに、全く別の職業に転職しよう思っても、一般企業の勤務経験や資格が無ければ正社員として採用される可能性は限りなく低いです。

 

 

 

プロのeスポーツ選手になるための3つの提案

次に、プロのeスポーツ選手になる難しさやリスクを踏まえた上で、どうやったらプロのeスポーツ選手になることができるのか・安心して生活することができるのかについて紹介します。

 

提案1:専業ではなく兼業プロeスポーツ選手という選択肢もある

1つ目の提案は、専業ではなく兼業のプロeスポーツ選手を目指すという選択です。兼業のプロeスポーツ選手とは、eスポーツの大会賞金などの収入と一般企業や自営業で働いてeスポーツ以外の収入(給料)で生計を立てている人を指します。一定の収入を安定的に得られることで精神的に落ち着くことができ、たとえプロのeスポーツ選手として実績を残せなかったり引退したりしたとしても仕事に困ることはありません。

最近では、企業が保有するeスポーツチームやeスポーツ選手を支援する制度を用意している企業が増えているため、プロ=専業と思考停止せずに兼業という選択肢もあることを覚えておきましょう。

 

提案2:高校や大学に進学して学歴と資格を得ておく

中長期的な人生設計、特にプロ引退後の生活を(ある程度)保証してくれるのが学歴と資格です。特に、取得難度が高い・資格保有者が少ない資格は日本で働くにあたって強い武器になります。

また、学校の勉強とeスポーツ選手としての能力は関係ないと考える人も多いと思いますが、世界で活躍するプロeスポーツ選手やコーチは高学歴な人も多く、戦略や戦術を試行錯誤する力や柔軟な発想力・応用力は勉強によって醸成されています。

ちなみに、eスポーツ専攻の学部やeスポーツ専門学校への進学は現時点ではお勧めしません。一般企業へ転職する際に学歴として評価の対象にならない可能性が高いためです。さらに、日本ではeスポーツの技術やトレーニング法を指導できる教育者が極めて少ないため、それらの学部や専門学校に通ったからといってプロのeスポーツ選手になるための有益な教育を受けられない可能性があります。

 

提案3:海外でプロのeスポーツ選手を目指す

日本という枠組みを越えて海外に目を向けてみれば、プロのeスポーツ選手になれる可能性は広がります。そもそも日本はeスポーツ後進国であり、プロのeスポーツ選手が働きやすい環境は整っていません。一方で海外のプロeスポーツ選手として働くと以下の様なメリットを享受することができます。

  • eスポーツ市場の規模が大きく・成長速度が早い
  • eスポーツの人気・社会的な地位が高い
  • 選手の収入・生活が保証されている

アメリカ・ヨーロッパ・中国・韓国などのeスポーツ先進国では、日本のメジャースポーツのプロ選手に勝るとも劣らない待遇・環境で働くことができます。もちろん、英語・中国語・韓国語などの言語を話せることが必須であるため、語学の勉強は非常に大切です。

 

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以上、プロのeスポーツ選手を目指すにあたっての難しさや危険性について、またそれらのリスクを踏まえてプロのeスポーツ選手を目指す方法について紹介しました。日本のeスポーツの盛り上がりを期待しつつ、プロのeスポーツ選手を目指す方の人生設計のヒントになれば幸いです。ご拝読ありがとうございました。

※こちらの記事についてご質問やご意見があれば、ぜひ

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